出題範囲の追加②~その他の記載内容

その他の記載内容」は、監査基準の改訂前は監査報告書の「追記情報」の「その他の事項」のひとつ、と位置づけられていましたが、継続企業の前提やKAMと同様の別に区分を設けて情報提供を行う事項として常に記載される事項となりました。監査報告書の情報提供の充実を趣旨とする改訂です。R2年の監査基準の改訂の中でもリスク・アプローチの強化に先行して適用される内容でしたが、ここにきて改めて「出題範囲の要旨」に追加されました。

その他の記載内容」は、開示書類のうち財務諸表と監査報告書以外の記載内容であり、監査人の意見表明の対象外ですが、監査対象の財務諸表とその他の記載内容との重要な相違が利害関係者の誤解を生じさせないよう、必要な対応が求められています。この辺りは改訂前と同様です。

整理された内容としては、「その他の記載内容との重要な相違」が財務諸表だけでなく監査人が監査の過程で得た知識との相違や矛盾であることが明示されました。

また、財務諸表・監査の過程で得た知識との「その他の記載内容との重要な相違」があるかどうかを検討するだけでなく、それらに関連しないその他の記載内容にも重要な誤りがあると思われる兆候に注意を払うことも要求されています。

常に記載される事項となった「その他の記載内容」についての監査報告書の記載事項は以下の通りです。

  1. その他の記載内容の範囲
  2. その他の記載内容に対する経営者・監査役等の責任
  3. その他の記載内容が監査人の意見表明の対象外である旨
  4. その他の記載内容に対する監査人の責任
  5. その他の記載内容について監査人が報告すべき事項の有無、報告すべき事項の内容(ある場合)