2020改訂監査基準を踏まえた監基報改正ポイント~720号

監査基準の改訂を受けて、2021年1月に監基報720号「その他の記載内容に関する監査人の責任」が改正されました。2022年3月期の監査から強制適用になるので、令和4年度(2022年度)の公認会計士試験には影響してきそうな改正です。改正のポイントを簡単に紹介したいと思います。

720号改正の背景

監査基準の改訂前においても、監査上「その他の記載内容」を通読し、「監査した財務諸表とその他の記載内容との重要な相違」がある場合には、監査報告書の追記情報(その他の事項)として開示が求められるといった、一定の関与が求められていました。しかし、「監査した財務諸表とその他の記載内容との重要な相違」がなければ監査報告書上は特に記載が無く、監査人が「その他の記載内容」に対してどのような対応をしているのか、監査報告書利用者には明らかではないという現状がありました。一方で、財務諸表以外の企業内容に関する情報開示が拡大してきています。そこで、監査報告書の情報提供機能の充実への期待もあいまって、「その他の記載内容」に関して監査人が実施すべき事項を明らかにすると共に、監査報告書上の記載を求める720号の改正がなされました。

720号改正のポイント

720号の主な改正点としては以下の通りです

  1. 「その他の記載内容」と監査人が監査の過程で得た知識との間の重要な相違があるかどうかを検討する改正前においては「その他の記載内容」を通読し、財務諸表との間の相違を識別することが求められていましたが、改正後は財務諸表との間だけでなく監査人が監査の過程で得た知識との間の重要な相違があるかどうかについても検討することが求められました。
  2. 財務諸表又は監査人が監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容について、重要な誤りがあると思われる兆候に注意を払う。改正前においても「その他の記載内容」の通読の過程で、明らかな事実の虚偽記載に気づいた場合には、経営者と協議するなどの一定の対応が求められましたが、改正後は要求事項として重要な誤りがあると思われる兆候に注意を払うことが求められました。
  3. 監査報告書に見出しを付した独立した区分を常に設け、その他の記載内容に関する報告を行う。監査意見を表明しない場合を除き、問題となる事項の有無にかかわらず、①「その他の記載内容」を構成する情報が何かを特定し、②「その他の記載内容」について監査人が実施した手続きと報告すべき事項の有無、③報告すべき事項がある場合にはその内容等、を記載することになりました。③の記載箇所については、利用者にとって関心の高い情報、つまり相対的重要性に関する監査人の判断によって決定する、とされており、場合によっては監査上の主要な検討事項(KAM)よりも先に記載されることもあり得るとされています。

720号の適用

「その他の記載内容」の記載は、KAMのように上場企業等のみを対象にしているものではありません。また、中間監査や四半期レビューの報告書は適用外となります。