令和元年改正会社法~ポイント解説No.8
株式対価M&Aをより行いやすくするための方法として「株式交付制度」が設けられました(改正会社法2条32号の2)。
株式会社(買収会社)が自社の株式を対価として交付し他の会社(対象会社)を子会社化する方法としては「株式交換」の方法もありますが、「株式交換」では完全子会社化する必要があります(会社法2条31号)。対象会社を現物出資させて対価として募集株式を発行する方法もありますが、これには募集株式の発行にかかる様々な規制があります(会社法199条)。そこで、199条1項の募集によらない「株式交付制度」が設けられました。
株式交付 株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第七百七十四条の三第二項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け,当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう。
改正会社法2条32号の2
以下、「株式交付制度」に関して、短答対策上覚えておきたい点を挙げておきます。
- 既に議決権の過半数を所有している子会社を株式交付子会社とする「株式交付」は行えない
- 持分会社・外国会社を株式交付子会社とする「株式交付」は行えない
- 対価として株式交付親会社の株式にその他の財産を組合せることができる(対価の柔軟化)
- 「株式交付」は組織法上の行為である
- 「株式交付」は株式交付親会社と株式交付子会社株主との間の株式譲渡としての側面があるので、金商法上の公開買付け規制の対象となる