令和元年改正会社法~ポイント解説No.2

今回は「電子提供制度」の導入に関連して、短答式試験対策として確認しておきたい事項をいくつか紹介します。

  1. 電子提供措置をとる旨の定款の定めは登記事項である。上場会社のみなし定款変更(上場会社は電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款変更の決議があったとみなされる)の場合も登記する必要がある。
  2. 非公開会社が電子提供制度を採用した場合、株主総会の開催の2週間前までに招集通知を発送する必要がある。非公開会社の招集通知の発送が1週間前から2週間前に前倒しされる。
  3. 有価証券報告書提出会社が、電子提供措置開始日までに電子提供措置事項を記載した有価証券報告書を提出(EDINETで情報開示)した場合には、重ねて電子提供措置をとることは要しない。
  4. 電子提供制度を採用した会社からアクセス通知を受け取ってもインターネット上で株主総会資料を閲覧することが困難な株主への対応として(デジタル・ディバイト問題への対応)、書面交付請求制度が用意されている。書面交付請求制度とは、電子提供制度を採用した株式会社の株主が、電子提供措置事項を記載した書面の交付を会社に対して請求できる制度である。

以下に関連する条文を挙げていますので参考にしてください。

第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

十二の二 第325条の2の規定による電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定め

改正会社法911条3項

前条第一項の規定により電子提供措置をとる場合における第二百九十九条第一項の規定の適用については,同項中「二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き,公開会社でない株式会社にあっては,一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において,これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間))」とあるのは,「二週間」とする。

改正会社法325条の4第1項

第一項の規定にかかわらず,金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社が,電子提供措置開始日までに第一項各号に掲げる事項(定時株主総会に係るものに限り,議決権行使書面に記載すべき事項を除く。)を記載した有価証券報告書(添付書類及びこれらの訂正報告書を含む。)の提出の手続を同法第二十七条の三十の二に規定する開示用電子情報処理組織(以下この款において単に「開示用電子情報処理組織」という。)を使用して行う場合には,当該事項に係る情報については,同項の規定により電子提供措置をとることを要しない。

改正会社法325条の3第3項

電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の株主(第二百九十九条第三項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の承諾をした株主を除く。)は,株式会社に対し,第三百二十五条の三第一項各号(第三百二十五条の七において準用する場合を含む。)に掲げる事項(以下この条において「電子提供措置事項」という。)を記載した書面の交付を請求することができる。

改正会社法325条の5第1項